ぼくのかんがえた大学ランキング

[20100605追記]

改訂版はこちら→改訂版 ぼくのかんがえた大学ランキング - P elements


研究効率で見る本当の大学ランキング: 学術論文が1回引用されるのに必要な研究費 | Chase Your Dream !
DreamChaserさんによる上記ブログエントリを拝読して、僕も自分で大学ランキングを作ってみたくなったので、やってみました。
DreamChaserさんのランキングでは、研究費として「科学研究費補助金科研費)の額」が計算に使われています。
現実には、大学における研究活動は科研費によるものだけではないので、僕のランキングでは、「大学が研究に投じる経費全体」を計算の対象とすることにしました。
というわけで、各大学の財務諸表に載ってる研究に関わる経費データおよびそこから見積もった「大学が研究に投じる経費全体」の額をまとめてみたのが表1です。
見積もりの方法は後述します。(先に言っておくと、見積もりとしてはかなりラフだと思います)

表1 各大学の運営・研究関連経費(の一部)

大学名 研究経費[億円] 受託研究費[億円] 教育経費[億円] 研究占有率 教育研究支援経費[億円] 教員人件費[億円] 職員人件費[億円] 総研究支出推定額[億円]
岡山大学 37.17 17.03 26.19 67.4% 7.13 170.70 124.59 258.10
京都大学 189.73 151.39 52.57 86.6% 31.61 370.37 254.53 909.97
金沢大学 25.02 14.49 19.55 66.9% 5.51 130.80 112.53 205.98
九州大学 103.53 84.57 39.41 82.7% 28.99 282.13 214.79 622.91
広島大学 47.35 27.69 43.94 63.1% 9.24 350.98*1 - 302.23
神戸大学 38.07 28.53 30.56 68.5% 13.11 185.69 155.75 309.63
千葉大学 34.24 16.06 24.30 67.4% 8.97 154.91 128.80 247.64
大阪大学 188.16 139.16 44.00 88.2% 35.93 348.80 210.83 852.31
筑波大学 63.38 25.93 54.13 62.3% 21.36 249.50 159.40 357.20
東京工業大学 69.41 61.39 25.53 83.7% 23.69 138.77 63.10 319.52
東京大学 267.71 360.52 95.04 86.9% 53.29 518.47 359.90 1437.47
東北大学 199.93 86.10 39.39 87.9% 28.30 304.41 236.60 786.43
北海道大学 84.11 68.21 34.83 81.4% 27.67 263.59 177.67 533.98
名古屋大学 89.83 65.99 28.01 84.8% 23.88 230.90 162.28 509.33
  • ランキング対象の大学はDreamChaserさんと同一としました。(ランキング一覧 - トムソン・ロイター←このサイトで公開されている論文被引用回数についての総合ランキングに含まれている日本の大学・機関のうち、東京医科歯科大学を除く国立大学のみを対象としました)
  • 研究経費・受託研究費・教育経費・教育研究支援経費・教員人件費・職員人件費については、各大学の平成20事業年度の財務諸表に掲載されている金額を用いました。(エントリ末に各財務諸表へのリンクを掲載しています)
  • 人件費については教員人件費・職員人件費ともに、常勤・非常勤を合算した金額を用いました。
  • 研究占有率・総研究支出推定額(いずれもこのブログエントリ独自の勝手な用語です)は以下のように定義しました。かなり乱暴な計算をしております。
  • この「総研究支出推定額」というのが、上述の「大学が研究に投じる経費全体」を見積もったものに相当します。

研究占有率 = (研究経費+受託研究費)/(研究経費+受託研究費+教育経費)
総研究支出推定額 = 研究経費 + 受託研究費 + 研究占有率×(教育研究支援経費+教員人件費+職員人件費)


でもって、表1で求めた「総研究支出推定額」とトムソン・ロイター発表の論文被引用回数を元に、各大学の研究生産性(=経費あたりの論文被引用回数)を計算して、生産性の高い順にソートしてみたのが表2です。

表2 総研究支出推定額と論文被引用回数に基づく大学の研究生産性ランキング

順位 大学名 世界順位 研究占有率 総研究支出推定額[億円] 被引用回数[回] 論文数[報] 被引用単価[万円/回] 論文単価[万円/報] 被引用効率[回/億円] 論文効率[報/億円]
1 京都大学 31 86.6% 909.97 732732 52735 136.61 1898.10 73.20 5.27
2 東京工業大学 171 83.7% 319.52 255204 24825 137.72 1415.82 72.61 7.06
3 大阪大学 37 88.2% 852.31 628365 44707 149.20 2097.07 67.02 4.77
4 東京大学 11 86.9% 1437.47 1041057 71838 151.89 2201.08 65.84 4.54
5 名古屋大学 110 84.8% 509.33 338129 28093 165.70 1994.33 60.35 5.01
6 東北大学 65 87.9% 786.43 473014 42509 182.88 2035.03 54.68 4.91
7 千葉大学 311 67.4% 247.64 148811 12659 183.06 2151.89 54.63 4.65
8 筑波大学 231 62.3% 357.20 197384 17911 199.07 2193.75 50.23 4.56
9 北海道大学 146 81.4% 533.98 284189 28809 206.69 2038.86 48.38 4.90
10 金沢大学 396 66.9% 205.98 108928 9374 208.01 2417.08 48.08 4.14
11 広島大学 298 63.1% 302.23 155650 16356 213.59 2032.60 46.82 4.92
12 岡山大学 343 67.4% 258.10 130575 13558 217.43 2094.00 45.99 4.78
13 九州大学 124 82.7% 622.91 312666 29457 219.15 2326.11 45.63 4.30
14 神戸大学 356 68.5% 309.63 124372 11832 273.85 2878.60 36.52 3.47

各項目、基本的にDreamChaserさんと同じリファレンスおよび類似の計算方法を用いています。

被引用単価=総研究支出推定額/(被引用回数/11)
論文単価=総研究支出推定額/(論文数/11)
被引用効率=被引用回数/(総研究支出推定額×11)
論文効率=論文数/(総研究支出推定額×11)


表3はおまけです。
研究のアウトプット量を示す指標(被引用回数・論文数)および研究の生産性・効率を示す指標(被引用単価・論文単価・被引用効率・論文効率)について、研究占有率および総研究支出推定額との間の相関係数を計算してみました。

表3 研究占有率および総研究支出推定額と生産性に関連する各指標との相関係数

被引用回数 論文数 被引用単価 論文単価 被引用効率 論文効率
研究占有率 0.737 0.797 -0.640 -0.398 0.667 0.371
総研究支出推定額 0.980 0.984 -0.529 -0.091 0.541 0.002

ちなみに、研究占有率と総研究支出推定額との間の相関係数は 0.738 でした。

むにゃむにゃ

DreamChaserさんのランキングとはずいぶん違うものができあがりましたねぇ・・・。(両ランキングで同一順位なのは14位の神戸大学だけ・・・)
今日はもう睡魔に負けそうなので、結論めいたことは言わずにおこうと思いますです。はい。

*1:教員・職員を合算した金額です