改訂版 ぼくのかんがえた大学ランキング
研究効率で見る本当の大学ランキング: 学術論文が1回引用されるのに必要な研究費 | Chase Your Dream !
先日、DreamChaserさんによる上記ブログエントリを拝読して、自分で大学ランキングを作ってみたくなって、下記のエントリをアップしました。
ぼくのかんがえた大学ランキング - P elements
「大学が研究に投じる経費全体」を計算の対象にしてランキングを作ってみたつもりだったのですが、各大学の財務諸表を引っ張ってくるだけで満足しちゃってて、肝心の計算方法がたいへん手抜きでした。ごめんなさい。ごめんなさい。
具体的には、
- 付属病院に関する経費・人件費などを考慮していない
- 役員人件費を考慮していない
- 一般管理費・財務経費を考慮していない
などなど問題点がたくさんありました。ごめんなさい。ごめんなさい。
というわけで、改訂版を作りました。
ついでに、研究生産性の計算対象として東京医科歯科大学・科学技術振興機構・自然科学研究機構・理化学研究所・産業技術総合研究所を追加しました。
ほんとは慶應義塾大学も含めたかったのですが、公開されている財務諸表では、研究と教育の経費が分けられていなかったので、断念しました。
総研究支出額の推定方法
「大学が研究に投じる経費全体」(ここでは「総研究支出額」と呼称)の見積もりに当たっては、前回同様、各大学の平成20事業年度の財務諸表に記載されている数値を利用しています。
今回は、総研究支出推定額を以下の式にしたがって計算しました。あいかわらず見積もりとしてはラフですけれども。
総研究支出推定額 = 研究経費 + 受託研究費 + A×教育研究支援経費 + B×(人件費+一般管理費+財務費用+雑損)
- A = (研究経費+受託研究費)/(研究経費+受託研究費+教育経費)
- B = (研究経費+受託研究費)/(研究経費+受託研究費+教育経費+診療経費+受託事業費)
科学技術振興機構・理化学研究所・産業技術総合研究所については、財務諸表の形式が大学のものとは異なっていて上記の式が適用できないのと、設立の目的から考えて、経費全額を総研究支出と見なすことにしました。(だいぶアンフェアな気もしますが)
各大学・研究機関の運営経費・総研究支出推定額を表1にまとめました。
表1 大学・研究機関の運営経費・総研究支出推定額(平成20事業年度財務諸表にもとづく)(単位:百万円)
研究機関名 | 研究経費 | 受託研究費 | 教育経費 | 診療経費 | 受託事業費 | 教育研究支援経費 | 人件費 | 一般管理費 | 財務費用 | 雑損 | 総研究支出推定額 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
大阪大学 | 18816 | 13916 | 4400 | 19413 | 680 | 3593 | 56156 | 3115 | 1951 | 209 | 71037 |
岡山大学 | 3717 | 1703 | 2619 | 15539 | 291 | 713 | 29662 | 1597 | 639 | 8 | 13146 |
科学技術振興機構 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | 107418 |
金沢大学 | 2502 | 1449 | 1955 | 13878 | 200 | 551 | 24450 | 1698 | 885 | 0 | 9664 |
九州大学 | 10353 | 8457 | 3941 | 21269 | 727 | 2899 | 49884 | 3082 | 1576 | 11 | 44139 |
京都大学 | 18973 | 15139 | 5257 | 16641 | 823 | 3161 | 62885 | 3997 | 1516 | 36 | 77926 |
神戸大学 | 3807 | 2853 | 3056 | 15015 | 465 | 1311 | 34425 | 1791 | 578 | 2 | 17285 |
産業技術総合研究所 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | 92571 |
自然科学研究機構 | 19964 | 2479 | 151 | - | 141 | 3277 | 9395 | 1945 | 97 | 1 | 36989 |
千葉大学 | 3424 | 1606 | 2430 | 13744 | 297 | 897 | 28492 | 1419 | 428 | 15 | 12736 |
筑波大学 | 6338 | 2593 | 5413 | 11270 | 543 | 2136 | 41134 | 2620 | 1297 | 12 | 25647 |
東京医科歯科大学 | 3330 | 1731 | 1231 | 16701 | 99 | 572 | 20150 | 815 | 1441 | 2 | 10432 |
東京工業大学 | 6941 | 6139 | 2553 | - | 370 | 2368 | 20295 | 2466 | 36 | 279 | 33922 |
東京大学 | 26771 | 36052 | 9504 | 26708 | 971 | 5329 | 88234 | 5956 | 2252 | 151 | 128131 |
東北大学 | 19993 | 8610 | 3939 | 18750 | 1555 | 2830 | 54292 | 4332 | 1360 | 32 | 63574 |
名古屋大学 | 8983 | 6599 | 2801 | 17442 | 498 | 2388 | 39613 | 2955 | 1179 | 6 | 36375 |
広島大学 | 4735 | 2769 | 4394 | 12452 | - | 924 | 35097 | 2201 | 469 | 78 | 19750 |
北海道大学 | 8411 | 6821 | 3483 | 12994 | 367 | 2767 | 44282 | 3784 | 1093 | 0 | 40828 |
理化学研究所 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | 80139 |
研究生産性の評価方法
研究生産性を定量的に評価するにあたっては、前回と同様、論文被引用一回あたりの経費投入額(もしくはその逆数である、投入経費あたりの論文被引用回数)・論文一方あたりの経費投入額(逆数だと投入経費あたりの論文数を用いています。
論文被引用数・論文数(1999年1月1日-2009年12月31日の11年間分)については、トムソン・ロイターによるESI(Essential Science Indicators)2010のデータを利用しています。(下記プレスリリース参照)
論文の引用動向からみる日本の研究機関ランキングを発表 - トムソン・ロイター
被引用単価 = (総研究支出推定額×11)/論文被引用数
論文単価 = (総研究支出推定額×11)/論文数
被引用効率 = 論文被引用数/(総研究支出推定額×11)
論文効率 = 論文数/(総研究支出推定額×11)
で、研究生産性の高い順(被引用効率の高い順=被引用単価の低い順)にソートしたのが表2です。
表2 研究生産性にもとづく日本の大学・研究機関ランキング
順位 | 研究機関名 | 被引用数世界順位 | 総研究支出推定額(百万円) | 被引用数(回) | 論文数(報) | 被引用効率(回/億円) | 論文効率(報/億円) | 被引用単価(万円/回) | 論文単価(万円/報) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 千葉大学 | 311 | 12736 | 148811 | 12659 | 106.22 | 9.04 | 94.1 | 1106.7 |
2 | 金沢大学 | 396 | 9664 | 108928 | 9374 | 102.47 | 8.82 | 97.6 | 1134.1 |
3 | 東京医科歯科大学 | 384 | 10432 | 114439 | 7930 | 99.73 | 6.91 | 100.3 | 1447.1 |
4 | 岡山大学 | 343 | 13146 | 130575 | 13558 | 90.30 | 9.38 | 110.7 | 1066.5 |
5 | 京都大学 | 31 | 77926 | 732732 | 52735 | 85.48 | 6.15 | 117.0 | 1625.5 |
6 | 名古屋大学 | 110 | 36375 | 338129 | 28093 | 84.50 | 7.02 | 118.3 | 1424.3 |
7 | 大阪大学 | 37 | 71037 | 628365 | 44707 | 80.41 | 5.72 | 124.4 | 1747.8 |
8 | 筑波大学 | 231 | 23943 | 197384 | 17911 | 74.95 | 6.80 | 133.4 | 1470.4 |
9 | 東京大学 | 11 | 128131 | 1041057 | 71838 | 73.86 | 5.10 | 135.4 | 1962.0 |
10 | 広島大学 | 298 | 19750 | 155650 | 16356 | 71.65 | 7.53 | 139.6 | 1328.2 |
11 | 東京工業大学 | 171 | 33922 | 255204 | 24825 | 68.39 | 6.65 | 146.2 | 1503.1 |
12 | 東北大学 | 65 | 63574 | 473014 | 42509 | 67.64 | 6.08 | 147.8 | 1645.1 |
13 | 神戸大学 | 356 | 17285 | 124372 | 11832 | 65.41 | 6.22 | 152.9 | 1606.9 |
14 | 九州大学 | 124 | 44139 | 312666 | 29457 | 64.40 | 6.07 | 155.3 | 1648.3 |
15 | 北海道大学 | 146 | 40828 | 284189 | 28809 | 63.28 | 6.41 | 158.0 | 1558.9 |
16 | 科学技術振興機構 | 67 | 107418 | 462433 | 22899 | 39.14 | 1.94 | 255.5 | 5160.0 |
17 | 自然科学研究機構 | 292 | 36989 | 157795 | 9912 | 38.78 | 2.44 | 257.9 | 4104.9 |
18 | 理化学研究所 | 129 | 80139 | 306754 | 17657 | 34.80 | 2.00 | 287.4 | 4992.5 |
19 | 産業技術総合研究所 | 151 | 92571 | 270838 | 26247 | 26.60 | 2.58 | 376.0 | 3879.6 |
むにゃむにゃ
だいぶ順位が入れ替わって、DreamChaserさんのランキング(科研費ベースで計算)と似た感じになりました。
総研究支出推定額ベースで計算した被引用効率と科研費ベースで計算した被引用効率の間には強い正の相関(R=0.81)が見られました。(図1)
うーん。So what?
例によってまた睡魔に負けそうなので、結論めいたことは言わずに失礼いたします。おやすみなさーい。
ぼくのかんがえた大学ランキング
[20100605追記]
改訂版はこちら→改訂版 ぼくのかんがえた大学ランキング - P elements
研究効率で見る本当の大学ランキング: 学術論文が1回引用されるのに必要な研究費 | Chase Your Dream !
DreamChaserさんによる上記ブログエントリを拝読して、僕も自分で大学ランキングを作ってみたくなったので、やってみました。
DreamChaserさんのランキングでは、研究費として「科学研究費補助金(科研費)の額」が計算に使われています。
現実には、大学における研究活動は科研費によるものだけではないので、僕のランキングでは、「大学が研究に投じる経費全体」を計算の対象とすることにしました。
というわけで、各大学の財務諸表に載ってる研究に関わる経費データおよびそこから見積もった「大学が研究に投じる経費全体」の額をまとめてみたのが表1です。
見積もりの方法は後述します。(先に言っておくと、見積もりとしてはかなりラフだと思います)
表1 各大学の運営・研究関連経費(の一部)
大学名 | 研究経費[億円] | 受託研究費[億円] | 教育経費[億円] | 研究占有率 | 教育研究支援経費[億円] | 教員人件費[億円] | 職員人件費[億円] | 総研究支出推定額[億円] |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
岡山大学 | 37.17 | 17.03 | 26.19 | 67.4% | 7.13 | 170.70 | 124.59 | 258.10 |
京都大学 | 189.73 | 151.39 | 52.57 | 86.6% | 31.61 | 370.37 | 254.53 | 909.97 |
金沢大学 | 25.02 | 14.49 | 19.55 | 66.9% | 5.51 | 130.80 | 112.53 | 205.98 |
九州大学 | 103.53 | 84.57 | 39.41 | 82.7% | 28.99 | 282.13 | 214.79 | 622.91 |
広島大学 | 47.35 | 27.69 | 43.94 | 63.1% | 9.24 | 350.98*1 | - | 302.23 |
神戸大学 | 38.07 | 28.53 | 30.56 | 68.5% | 13.11 | 185.69 | 155.75 | 309.63 |
千葉大学 | 34.24 | 16.06 | 24.30 | 67.4% | 8.97 | 154.91 | 128.80 | 247.64 |
大阪大学 | 188.16 | 139.16 | 44.00 | 88.2% | 35.93 | 348.80 | 210.83 | 852.31 |
筑波大学 | 63.38 | 25.93 | 54.13 | 62.3% | 21.36 | 249.50 | 159.40 | 357.20 |
東京工業大学 | 69.41 | 61.39 | 25.53 | 83.7% | 23.69 | 138.77 | 63.10 | 319.52 |
東京大学 | 267.71 | 360.52 | 95.04 | 86.9% | 53.29 | 518.47 | 359.90 | 1437.47 |
東北大学 | 199.93 | 86.10 | 39.39 | 87.9% | 28.30 | 304.41 | 236.60 | 786.43 |
北海道大学 | 84.11 | 68.21 | 34.83 | 81.4% | 27.67 | 263.59 | 177.67 | 533.98 |
名古屋大学 | 89.83 | 65.99 | 28.01 | 84.8% | 23.88 | 230.90 | 162.28 | 509.33 |
- ランキング対象の大学はDreamChaserさんと同一としました。(ランキング一覧 - トムソン・ロイター←このサイトで公開されている論文被引用回数についての総合ランキングに含まれている日本の大学・機関のうち、東京医科歯科大学を除く国立大学のみを対象としました)
- 研究経費・受託研究費・教育経費・教育研究支援経費・教員人件費・職員人件費については、各大学の平成20事業年度の財務諸表に掲載されている金額を用いました。(エントリ末に各財務諸表へのリンクを掲載しています)
- 人件費については教員人件費・職員人件費ともに、常勤・非常勤を合算した金額を用いました。
- 研究占有率・総研究支出推定額(いずれもこのブログエントリ独自の勝手な用語です)は以下のように定義しました。かなり乱暴な計算をしております。
- この「総研究支出推定額」というのが、上述の「大学が研究に投じる経費全体」を見積もったものに相当します。
研究占有率 = (研究経費+受託研究費)/(研究経費+受託研究費+教育経費)
総研究支出推定額 = 研究経費 + 受託研究費 + 研究占有率×(教育研究支援経費+教員人件費+職員人件費)
でもって、表1で求めた「総研究支出推定額」とトムソン・ロイター発表の論文被引用回数を元に、各大学の研究生産性(=経費あたりの論文被引用回数)を計算して、生産性の高い順にソートしてみたのが表2です。
表2 総研究支出推定額と論文被引用回数に基づく大学の研究生産性ランキング
順位 | 大学名 | 世界順位 | 研究占有率 | 総研究支出推定額[億円] | 被引用回数[回] | 論文数[報] | 被引用単価[万円/回] | 論文単価[万円/報] | 被引用効率[回/億円] | 論文効率[報/億円] |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 京都大学 | 31 | 86.6% | 909.97 | 732732 | 52735 | 136.61 | 1898.10 | 73.20 | 5.27 |
2 | 東京工業大学 | 171 | 83.7% | 319.52 | 255204 | 24825 | 137.72 | 1415.82 | 72.61 | 7.06 |
3 | 大阪大学 | 37 | 88.2% | 852.31 | 628365 | 44707 | 149.20 | 2097.07 | 67.02 | 4.77 |
4 | 東京大学 | 11 | 86.9% | 1437.47 | 1041057 | 71838 | 151.89 | 2201.08 | 65.84 | 4.54 |
5 | 名古屋大学 | 110 | 84.8% | 509.33 | 338129 | 28093 | 165.70 | 1994.33 | 60.35 | 5.01 |
6 | 東北大学 | 65 | 87.9% | 786.43 | 473014 | 42509 | 182.88 | 2035.03 | 54.68 | 4.91 |
7 | 千葉大学 | 311 | 67.4% | 247.64 | 148811 | 12659 | 183.06 | 2151.89 | 54.63 | 4.65 |
8 | 筑波大学 | 231 | 62.3% | 357.20 | 197384 | 17911 | 199.07 | 2193.75 | 50.23 | 4.56 |
9 | 北海道大学 | 146 | 81.4% | 533.98 | 284189 | 28809 | 206.69 | 2038.86 | 48.38 | 4.90 |
10 | 金沢大学 | 396 | 66.9% | 205.98 | 108928 | 9374 | 208.01 | 2417.08 | 48.08 | 4.14 |
11 | 広島大学 | 298 | 63.1% | 302.23 | 155650 | 16356 | 213.59 | 2032.60 | 46.82 | 4.92 |
12 | 岡山大学 | 343 | 67.4% | 258.10 | 130575 | 13558 | 217.43 | 2094.00 | 45.99 | 4.78 |
13 | 九州大学 | 124 | 82.7% | 622.91 | 312666 | 29457 | 219.15 | 2326.11 | 45.63 | 4.30 |
14 | 神戸大学 | 356 | 68.5% | 309.63 | 124372 | 11832 | 273.85 | 2878.60 | 36.52 | 3.47 |
各項目、基本的にDreamChaserさんと同じリファレンスおよび類似の計算方法を用いています。
- 順位: 研究支出経費あたりの論文被引用回数(=研究生産性)に基づいた順位です。
- 世界順位: ランキング一覧 - トムソン・ロイター←このサイトで公開されている論文被引用回数についての世界順位です。
- 被引用回数: ランキング一覧 - トムソン・ロイター←このサイトで公開されている論文被引用回数を用いています。1999年1月1日-2009年12月31日の11年間を対象にしています。
- 論文数: ランキング一覧 - トムソン・ロイター←このサイトで公開されている論文数を用いています。1999年1月1日-2009年12月31日の11年間を対象にしています。
被引用単価=総研究支出推定額/(被引用回数/11)
論文単価=総研究支出推定額/(論文数/11)
被引用効率=被引用回数/(総研究支出推定額×11)
論文効率=論文数/(総研究支出推定額×11)
表3はおまけです。
研究のアウトプット量を示す指標(被引用回数・論文数)および研究の生産性・効率を示す指標(被引用単価・論文単価・被引用効率・論文効率)について、研究占有率および総研究支出推定額との間の相関係数を計算してみました。
表3 研究占有率および総研究支出推定額と生産性に関連する各指標との相関係数
被引用回数 | 論文数 | 被引用単価 | 論文単価 | 被引用効率 | 論文効率 | |
---|---|---|---|---|---|---|
研究占有率 | 0.737 | 0.797 | -0.640 | -0.398 | 0.667 | 0.371 |
総研究支出推定額 | 0.980 | 0.984 | -0.529 | -0.091 | 0.541 | 0.002 |
ちなみに、研究占有率と総研究支出推定額との間の相関係数は 0.738 でした。
むにゃむにゃ
DreamChaserさんのランキングとはずいぶん違うものができあがりましたねぇ・・・。(両ランキングで同一順位なのは14位の神戸大学だけ・・・)
今日はもう睡魔に負けそうなので、結論めいたことは言わずにおこうと思いますです。はい。
各大学の平成20事業年度財務諸表(すべてPDF直リンクです。ご注意下さい)
- 岡山大学 http://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/soumu-pdf/zaimusyohyo%2820%29.pdf
- 京都大学 http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/profile/disclosure/guide/accounting/documents/zaimu_2008.pdf
- 金沢大学 http://www.adm.kanazawa-u.ac.jp/ad_syomu/jyouhoukoukai/zaimu/zaimu20.pdf
- 九州大学 http://www.kyushu-u.ac.jp/university/disclosure/financial_statements/H20_financial_statements.pdf
- 広島大学 http://www.hiroshima-u.ac.jp/upload/0/houjin/jyoho/zaimuhoukoku/2009.pdf
- 神戸大学 http://www.kobe-u.ac.jp/info/disclosure/pdf/H20-financial-statements.pdf
- 千葉大学 http://www.chiba-u.ac.jp/general/disclosure/announce/pdf/finance/zaimu09_1.pdf
- 大阪大学 http://www.osaka-u.ac.jp/ja/guide/information/joho/zaimu/files/8ca152d98af88868-5e736210205e745ea6.pdf
- 筑波大学 http://www.tsukuba.ac.jp/public/misc/pdf/090910zaimu.pdf
- 東京工業大学 http://www.titech.ac.jp/about/outline/pdf_financial/fs_20.pdf
- 東京大学 http://www.u-tokyo.ac.jp/fin01/pdf/H20zaimusyohyou.pdf
- 東北大学 http://www.bureau.tohoku.ac.jp/zaikessan/20zaimusyohyou.pdf
- 北海道大学 http://www.hokudai.ac.jp/bureau/top-sub/johokoukai/20-zaimusyohyo.pdf
- 名古屋大学 http://www.nagoya-u.ac.jp/pdf/about-nu/financial-statement/h20-2.pdf
*1:教員・職員を合算した金額です
高校生さんからの質問にお答えします
先日、id:keykeep146さん(高校生さんだそうです)から下記のような質問を受けました。
このエントリはこれらのご質問にお答えするためのものです。
自分の今目指している分野は、「生命の起源」です。
特にRNAワールド仮説に興味があって、欧米のほうが研究が進んでいると聞いたのでアメリカ留学を考えました。
アメリカでどういう位置づけの分野なのかよく分からないのですが、基礎寄りな気がしたので、ポスドク問題を調べていました。
ポスドク問題が深刻な分野ですか?
あと、特に興味がある研究室がイギリスとアメリカにあるのですが、アメリカだと一度に取る人数が少なくて、なかなか希望の研究室に入りにくいと聞きました。
希望の研究室に入るのはやはり難しいですか?
http://hakase.g.hatena.ne.jp/poccopen/comment?date=20090720#c
id:keykeep146 さん、お返事がたいへん遅くなって申し訳ありません。
アメリカの大学院のシステムなどについて、僕では分からないことが多かったので同僚のポスドクさんに話を聞いてみたり、ウェブ上で見られるポスドクについての資料を探してたりしてたので、エントリをまとめるまでにずいぶん時間がかかっちゃいました。すみません。
さて、がんばって質問にお答えします。もし参考になれば嬉しいです。
Q1: ポスドク問題が深刻な分野ですか?
A1: はい。バイオ系は、残念ながらポスドク問題が深刻な分野だと思います。
RNAワールド仮説を取り扱う、ということですと、分野としてはやはりバイオ系、しかもかなり基礎寄りということになりますよねぇ。
もちろん、RNAワールド仮説をどういう切り口で検証したいか、という点に依存して、化学寄りだったり物理寄りだったりもするとは思いますが、いずれにしても産業応用からは遠い分野であるように思います。
製造業に近い工学系の分野だったりすると、大学の研究室がもっている技術がそのまま製品の製造・開発に生かせたりする場合があったりして、博士号取得者がするっと民間企業の研究部門に入れたりする例もあるそうですが、バイオ系の基礎分野はすぐに産業に結びつく、というわけではないので、学位取得後に民間企業の研究部門に入る、という選択が比較的困難です。
で、研究を続けたい人の大部分が大学などアカデミアに残ることを選び、限られたアカデミックポストに対して過当競争が生じています。
大学院重点化以降、ドクター輩出数は増えているのに対して、任期なしのアカデミックポストの数は逆に削減されてきている、ということもあって、状況は悪化を続けています。
この状況を受けて、博士課程の定員を削減するべき、という意見も聞かれます。
が、直ちにドクター輩出ペースを半減させたとしても、既にかなりの数のポスドクがすでに滞留してしまっているため、状況はゆっくりとしか改善しません。(下記ブログエントリが参考になります)
今の高校生世代の皆さんが博士号を取得する頃(=約10年後)、この状況が劇的に改善されているとは思えないんです・・・。
ポスドク数の推移シュミレーション
海外ポスドクの就職活動日記
http://ameblo.jp/gogo-pd/entry-10301976849.html
ポスドクについての統計資料としては、下記のものが多少参考になるかもしれません。
残念ながら、ごく最近のポスドクの進路動向についての資料は見つけられませんでした・・・。
博士号取得者の凄惨な末路については、「博士が100人いるむら」というflashが有名だったりしますが、情報がちょっと古いのと、煽りすぎの感が否めないので、リンクは載せずにおきます。(検索すればすぐ見つかっちゃいますが)
大学・公的研究機関等におけるポストドクター等の雇用状況調査 - 2006 年度実績 -
文部科学省 科学技術政策研究所
http://www.nistep.go.jp/achiev/abs/jpn/mat156j/pdf/mat156aj.pdf
バイオ系ポスドクに限った資料としては、下記のものが参考になると思います。
たぶん僕も回答者のひとりとして数えられてるはず・・・(当時は学位もってませんでしたが)。
ポスドク関連の情報は第3章でまとめられています。
第2回バイオ系専門職における男女共同参画実態の大規模調査の分析結果
平成21年5月 特定非営利活動法人 日本分子生物学会
http://wwwsoc.nii.ac.jp/mbsj/gender_eq/doc/enq2007_mbsj_rep.pdf
バイオ系ポスドクが余ってるっていう状況は、なにも日本国内に限ったことではなくて、米国でもかなり以前から問題が指摘されています。(ずいぶん古い記事ですいません↓)
Jobs crisis sparks call for freeze in number of PhD students in US
Nature 395, 103-103 (10 September 1998) doi:10.1038/25796 News
http://www.nature.com/nature/journal/v395/n6698/full/395103a0.html
http://www.sauvonslarecherche.fr/IMG/pdf/395103.pdf
米国のバイオ業界(NIHからの予算をもらう人々)では、ここ25年で、研究者が独立する年齢の平均値が5歳ほど上昇しています。
※下記資料の閲覧にはMicrosoft PowerPoint形式のデータを開けるアプリケーションが必要です。
もしPowerPointをお持ちでない場合には、下記のソフトウェア(いずれもフリー)をダウンロードしてお使い下さい。
PowerPoint Viewer 2007
http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?displaylang=ja&familyid=048DC840-14E1-467D-8DCA-19D2A8FD7485
Open Office
http://ja.openoffice.org/
AVERAGE AGE OF PRINCIPAL INVESTIGATORS
NIH Extramural Data Book last update May 2008
http://report.nih.gov/NIH_Investment/PPT_sectionwise/NIH_Extramural_Data_Book/NEDB%20SPECIAL%20TOPIC-AVERAGE_AGE.ppt
Q2: 米国で希望の研究室に入るのは難しいですか?
A2: やはり簡単ではないようです。
僕は日本で学位を取得して、ついこの間から米国(ペンシルバニア大学医学部)でポスドクを始めた人間なので、アメリカの大学院入試についてはよく知りません。
ですので、同じラボののポスドクさんに聞いてみました。
彼によると、HarvardとかStanfordとか、トップクラスの大学で有名教授のラボとなると、大学院入試、かなり難しいらしいです。
まず、非英語圏からの出願時にはTOEFLの点数が必要です。TOEFLは足切りに使われるので、基準点に達しなければ門前払いです。
で、大学院入試では、GRE(Graduate Record Examination)が利用されるわけですが、これらの大学の院試ではほぼパーフェクトに近い成績が要求されるそうです。
さらに、質の高い学生を確保する意味で、出身大学名・学部(もしくは修士課程)での研究内容・指導教員からの推薦状・publication(もしあれば)も重要視されるそうです。
でもって、事前にボスとコンタクトが取れていて、良好な回答を得ておくことが望ましいそうです。
が、うちのラボのポスドクさんによると、この事前のコンタクトというのが米国外の学生さんには難しいのではないか、とのことでした。
ビッグラボのボスはたいてい非常に忙しいので、undergraduate student(しかも外国の)からの連絡はスルーしてしまうことも往々にしてあるので・・・。
(僕自身、有名ラボのボスに菌株やプラスミドDNA分与のお願いメールを出したものの返事がない・・・というようなことはちょこちょこ経験しました)
それから、学生の採用数には景気の状況が影響します。
米国内の景気がよければ、大学院へ行かずに民間へ就職する学生が増加し、かつ科学研究予算も(相対的に)潤沢なので、大学院への入学は容易になります。
逆に景気が悪ければ、大学院入試の競争は激化します。
もちろん、景気の状況はポスドクの採用数にも影響します。はぁ、景気、よくなってほしいですね・・・。
うぅ、どちらのご質問に対しても、割とネガティブな回答になっちゃいましたね・・・。
生物学の研究が面白くて、楽しくて、今の職業を選んだ僕としては、高校生がバイオ系の研究者になりたい、って言ってくれることは、それはもう、非常に嬉しいことなんです。
でも、「バイオ系楽しいよー、面白いよー、おいでおいでー。(でも後は知らないよー)」って無責任に勧誘することはできない状況なんですよねぇ、少なくとも今は。
なので、現実を反映した厳しめのお答えをしたつもりです。
この現実を知ってもなお、バイオ系の研究をしたい、と思い続けられるのなら、ぜひ挑戦して下さい。
強い信念がある人は、成功する確率も高いですよ。きっと。
こんな内容ですが、もし何かの参考になれば嬉しいです。
お答えするのにずいぶん時間がかかっちゃってますが、文章自体はだいぶ急いで書いたので、分かりにくい点もあるかもしれません。
追加の質問も歓迎しますので(次はもっと早く回答するようがんばります)、ご遠慮なくどうぞー。
公開の場で聞きにくいこと(例えば、「ずばり給料いくらですか」とか)があれば、 poccopenn@gmail.com 宛にメールで質問して下さってもかまいません。こっそりお返事します。
高校生って、自分の将来について、すごく自由に想像したり悩んだりできる、貴重な時期だと思います。
(大学→院と進むにつれて、想像の自由度が下がってくる気がします)
どうぞ、めいっぱい、楽しく、未来を想像したり、将来に悩んだりして下さいませー。
今回は質問して下さって、たいへんありがとうございました。
15分で覚えるポジコン・ネガコン絶対攻略マニュアル
いいタイトルが思い浮かばなかったので、ホッテントリメーカーに頼ってみました。
(普通に"Re: うまくいく実験、うまくいかない実験"とした方がよかったかも・・・)
タイトルはこんなですが、このエントリは、
id:tsugo-tsugoさんによる下記のエントリ
http://d.hatena.ne.jp/tsugo-tsugo/20090221
を拝読したのをきっかけに、自分の実験に対する姿勢を振り返って考えてみたことのまとめです。
上記のtsugo-tsugoさんのエントリに対しては、既に、id:klonさんがこちらのエントリ
http://d.hatena.ne.jp/klon/20090222/1235294611
にて、大規模な実験を中心とした内容をお書きになってます。
僕(守備範囲は分子生物学)のいるラボは比較的ヘテロなメンバーから構成されていて、ほぼ一人一テーマに近い状態です。
という事情もあって、僕には多数の研究メンバーが関わるような大規模な実験の経験はありません。
基本的にひとりで実験を計画し、ひとりで実験を遂行しています。
ですので、生物学におけるわりと小規模な実験というのは、こういうコンセプトのもとで組み立てられてますよー、というお話しかできません。あしからず。
結果的に、これから実験を始めるような学生さん向けの内容になってしまったので、きっとtsugo-tsugoさんやklonさんをはじめとする関係者の皆さんにとっては、いささか平易すぎる*1説明になっちゃってると思います。ごめんなさい。
1)「実験」とは何か
さて、まずはこのエントリ内での言葉の定義について。
手っ取り早いので、Wikipediaから持ってきました。
実験(じっけん)とは、構築された仮説や、既存の理論が実際に当てはまるかどうかを確認することや、既存の理論からは予測が困難な対象について、さまざまな条件の下で様々な測定を行うこと。知識を得るための手法の一つ。
これでもちょっと長いので、ここでは以下のようなさらにコンパクトな定義にしたいと思います。
実験=何らかの仮説検定のための何らかの測定*2
この定義に従えば、「この大腸菌はPというプラスミドを持っている」という仮説を検定するために行われると考えれば、コロニーPCRだって立派な実験です。*3
2)「実験がうまくいく」とはどのような状態か
ここでは、「実験がうまくいく」=「実験の目的が達成される」と考えます。
上記の「実験」の定義に基づけば、実験の目的は「何らかの仮説を棄却するかどうかを判断すること」です。
この目的を達成するために、実験者は「何らかの測定」行うわけです。
すなわち、
実験の目的=何らかの仮説を棄却するかどうか判断しうる、信頼性のある測定値を得ること
と表現できます。
分子生物学における「測定」
生物学、特に分子生物学分野の測定においては、多くの場合、絶対的なスケール(ものさし、尺度)が存在しません。
例えば、ある組織のある細胞におけるある酵素の活性測定値は、たいていの場合、その組織・その細胞においてのみ意味を持つものであり、別々の組織の間で酵素活性の絶対値を比較しても意味がなかったりします。
このため、生物学実験では、実験の都度、スケールを用意する必要があるわけです。
スケール設定としての対照実験
絶対的尺度の存在しない生物学実験に、「相対的」尺度を持ち込むため、生物学者は「対照実験(コントロール実験)」を組みます。これもWikipediaから。
対照実験(たいしょうじっけん)とは、科学研究において、結果を検証するための比較対象を設定した実験。コントロール実験とも呼ばれる。条件の差による結果の差から、実験区の結果を推し量る基準となり、実験の基礎となる。
対照実験においては、必ず比較対照が設定され、各サンプルの測定値の相対的差異の有無をもって何らかの仮説の検定を行うわけです。
ポジコン(ポジティブコントロール、陽性対照*4)
対照実験において設定されうる比較対象のひとつがポジティブコントロール、ポジコンです。
大雑把に言えば、「うまくいく・効果があることが分かっているもの」、です。
例えば、ある細胞Cにある薬剤Dを与えると、ある酵素Eの活性が上昇する、ということが既知である系が存在するとします。
で、実験者は薬剤D'もDと同様に酵素Eの活性を上昇させるのかどうか知りたい、つまり「薬剤D'には細胞C内の酵素Eの活性を上昇させる効果がある」という仮説を検定したいとします。
このとき、ポジティブコントロールとして設定されるのは、当然、「細胞Cに薬剤Dを与えたときの酵素Eの活性」です。
この測定値が、スケールの右端の基準点(厳密には右「端」とは限りません。あくまでもゼロでない方の基準点、という意味)になるわけです。ここで得られた測定値が、ネガコン(後述)に比べて十分大きければ、測定系自体が期待通りに動いていることが保証されます。
上記のような効果既知の薬剤が存在しない場合、ポジコンが設定できないことがあります。
このような場合、細胞Cに対して何らかの薬剤を与えて、酵素Eの活性が上昇しなかったとしても、薬剤に効果がないのか、測定系がうまく動いていないのか判断することができません。
すなわち、ポジコンのない条件下では、例えば「薬剤D''には細胞C内の酵素Eの活性を上昇させる効果がない」という仮説を検定することはできません。
ネガコン(ネガティブコントロール、陰性対照*5)
対照実験において、必ず設定することのできる比較対象がネガティブコントロール、ネガコンです。
大雑把に言えば、「うまくいかない・効かないことが分かっているもの」、です。
ポジコンのときと同様に、ある細胞Cにある薬剤Dを投与するとある酵素Eの活性が上昇する、という系があるとします。
で、実験者は薬剤D'もDと同様に酵素Eの活性を上昇させるのかどうか知りたい、つまり「薬剤D'には細胞C内の酵素Eの活性を上昇させる効果がある」という仮説を検定したいとします。
このとき、ネガティブコントロールとして設定されるのは、「細胞Cに薬剤の溶媒のみを与えたときの酵素Eの活性」です。
この測定値が、スケールの左端の基準点、ゼロ点に相当します。
ポジコンが設定できないケースはままありますが、ふつうネガコンは必ず設定できます。
効果が「ない」ことを示すためにはポジコンの設定が必須ですが、ポジコンが設定できないときでも、ネガコンが設定でき、かつサンプルの測定値が統計的に有意にネガコンの値よりも高ければ、このとき投与した薬剤には効果がある、と判断することは可能です。
実験条件の検討=ポジコン・ネガコンの差異の最大化・安定化
生物学実験では、各サンプル間での実験条件を完璧に揃えることは非常に困難です。
このため、測定値にはいろいろな誤差が乗ってきます。
仮説の棄却の可否を判断するためには、この誤差に埋もれずに測定値を比較できるスケールが必要です。
このために、実験者は複数回の実験を行い、各実験における測定値間のブレが小さいこと(測定値の再現性)を確認します。
また、このブレの大きさに対して、ポジコン・ネガコン間の差異が十分大きいことを確認します。
もし、ポジコン・ネガコン間の測定値の差異が十分でなかったり、実験ごとに測定値が大きくぶれたりしている場合には、統計的に有意な、信頼できる測定値を得るため、細胞の培養条件や酵素活性の測定条件の検討を行うわけです。
ポジコン・ネガコンの設定を意識する意義
実験を計画・実施するとき、ポジコン・ネガコンの設定を意識することで、自分が何と何を比較し、どのような仮説を検定しようとしているのか、という点に立ち戻って考えることができます。
実験が仮説どおりの結果を出し続けているときは、ポジコン・ネガコンのデータを取ることは面倒なだけかもしれませんが、たいていの実験はそううまく仮説どおりにはいきません。
こんなとき、実験者は自らの仮説を棄却・修正する必要に迫られる(この仮説修正能力こそが実験者の真価が問われる局面であるように思います)わけです。
信頼に足るコントロールを取っていれば、速やかに仮説の棄却の可否を判断し、次の実験に進むことができますが、十分なコントロールを取っていなければ、実験の成否を判断することができません。時間や労力や試薬は無駄になってしまいます。
仮説の可否を判断することができない、そんな実験はもはや実験とは呼べませんよね。
以下余談
どんなに小さな、つまらなさそうに見える実験でも、きちんとコントロールを設定することによって、その実験を通してしか検証することのできない、何らかの仮説についての判断を行うことができるはずです。
それは周りから見れば車輪の再発明といわれることかもしれませんが、教科書の内容の受け売りではなく、自力で何らかの仮説を検証できる、ということはとても素晴らしいことだと、僕は思います。(まぁ、再発明ばっかりじゃダメなんですけどね)
いま検証されようとしている仮説は、もしかしたら将来、ほかの誰かの仮説の土台になるものかもしれません。(身近なところでは、先輩の実験結果を元に、後輩が新しい実験を計画する、とかありますよね)
現代のサイエンスは、これまでにたくさんの科学者によって行われた、幾多の実験によっても棄却されることのなかった、たくさんの仮説の上に成り立つものです。
そんな仮説の塔の上に、ちょこんと腰掛けさせてもらっている者として、実験に対しては真摯でありたいと、そう僕は思います。
いやー、慣れないことはするもんじゃないですね。
後段だいぶ青臭くなっちゃいました。